誰も居ない控え室~後編~
2009年05月05日
披露宴会場のドアが開かれ、ダッパーメンバーが楽器を手に持って中に入ると、
そこは……
涙・涙の感動の嵐の世界でした。
照明が落とされた会場の中で高砂の席の正反対の位置に、6人の人物がスポットライトを浴びて立っています。
2人は新郎新婦。
そして、残り4人は新郎新婦のそれぞれの御両親。
たった今、花嫁から御両親にあてた手紙を花嫁自身が読み上げたばかり。
幼い頃の思い出。
母の愛。
父の愛。
家族への想い。
今まで守り続けてくれたことへの言葉にできない感謝の気持ち。
それらを、涙でつかえながら、震える声で読み上げた直後です。
6人は一様に感動の涙を流し、
列席されているお客様も一様に幸福そうな顔をし、中には一緒になって泣いている女性も何人もいるように見えます。
そんな「感動の嵐」の会場の中へ拍手と共に招かれたダッパーメンバー。
並べられた4つの席へと楽器を持って進みます。
そして、整列した4名の内の今回の代表者Y君にマイクが渡されました。
シーン…
途端に静まる会場。
Y「…遅くなってすみません。新婦○○の従兄弟のYです。○○ちゃん、今日は本当におめでとうございます。ささやかなお祝いのプレゼントとして私が普段一緒に演奏している仲間にも駆けつけてもらいました。この4人でサックスの演奏をします。曲は…」
ここでY君、言葉につまった。
なぜなら周りは、先ほどの感動の余韻がまだまだ続く状態。
あちこちで先ほどの余韻のすすり泣きが聞こえますし、ハンカチを目に当てている人もいます。
でも、曲名を隠しても仕方ない…
Y「曲名は、バ…バナナボートと聖者の行進です。」
そう。
今日持って来た曲はどちらも底抜けに明るい曲だけ。
お祝いの席なんだから、明るく楽しい曲がいい!と選んだ2曲でした。
Bさんなんか、聖者の行進でアドリブドソロが有るからって、すごい張り切って練習した1曲なのでした。
本来の出番、余興の最中であれば何の問題も無い選曲でした。
しかし、はっきり言って、この会場の雰囲気の中ではミスマッチどころではありません。
極上の懐石料理の締めにマックフライポテトが出てきたようなもの。
しかも、食べないという選択肢無しで。
が、ここは演奏するしか無い…
先ほどの感動を全部台無しにしてしまう覚悟で演奏は始まりました。
バナナボートの南国調の底抜けに明るい・暢気なメロディが、さきほどの
花嫁やお客さんの涙を急速乾燥させているのが肌で感じられます。
聖者の行進では、案の定と言うか、まぁ気持ちは判るというか、Bさんのアドリブソロはメロメロ。
演奏の「残念感」を一層煽ります。
メンバー一同、こんなに一生懸命に、しかも心の中で何度もゴメンナサイをつぶやきながら演奏した事は初めてでした。
何とか演奏を終了し、メンバーにとって拷問の様なひと時が終わりました。
4人で苦笑いしながら立ち上がり、一礼。
それでも、会場からは大きな拍手があがりました。
それは演奏に感動した拍手なのか…
それともやっと演奏が終了した事へのはなむけの拍手なのか…
かくして、悪夢の様なイベントは幕を閉じたわけです…。
後日談として、花嫁からY君に「バナナボート、みんなで合唱してもよかったなぁ。」と言うコメントが届いたのは、どう解釈していいのか、未だに悩むY君でした。
おしまい。
かおりん「これ、本当にあったお話なんですか?」
うん…。細かい部分はかなり脚色入れてるけど、悲しい事に大筋、事実なんだよ。
かおりん「悲しい出来事ですねぇ。」
ほんとに…
皆さん、イベントの日のスケジュールの確認はちゃんとしましょうね。
イエロ「それほどのもんかーー!」
そこは……
涙・涙の感動の嵐の世界でした。
照明が落とされた会場の中で高砂の席の正反対の位置に、6人の人物がスポットライトを浴びて立っています。
2人は新郎新婦。
そして、残り4人は新郎新婦のそれぞれの御両親。
たった今、花嫁から御両親にあてた手紙を花嫁自身が読み上げたばかり。
幼い頃の思い出。
母の愛。
父の愛。
家族への想い。
今まで守り続けてくれたことへの言葉にできない感謝の気持ち。
それらを、涙でつかえながら、震える声で読み上げた直後です。
6人は一様に感動の涙を流し、
列席されているお客様も一様に幸福そうな顔をし、中には一緒になって泣いている女性も何人もいるように見えます。
そんな「感動の嵐」の会場の中へ拍手と共に招かれたダッパーメンバー。
並べられた4つの席へと楽器を持って進みます。
そして、整列した4名の内の今回の代表者Y君にマイクが渡されました。
シーン…
途端に静まる会場。
Y「…遅くなってすみません。新婦○○の従兄弟のYです。○○ちゃん、今日は本当におめでとうございます。ささやかなお祝いのプレゼントとして私が普段一緒に演奏している仲間にも駆けつけてもらいました。この4人でサックスの演奏をします。曲は…」
ここでY君、言葉につまった。
なぜなら周りは、先ほどの感動の余韻がまだまだ続く状態。
あちこちで先ほどの余韻のすすり泣きが聞こえますし、ハンカチを目に当てている人もいます。
でも、曲名を隠しても仕方ない…
Y「曲名は、バ…バナナボートと聖者の行進です。」
そう。
今日持って来た曲はどちらも底抜けに明るい曲だけ。
お祝いの席なんだから、明るく楽しい曲がいい!と選んだ2曲でした。
Bさんなんか、聖者の行進でアドリブドソロが有るからって、すごい張り切って練習した1曲なのでした。
本来の出番、余興の最中であれば何の問題も無い選曲でした。
しかし、はっきり言って、この会場の雰囲気の中ではミスマッチどころではありません。
極上の懐石料理の締めにマックフライポテトが出てきたようなもの。
しかも、食べないという選択肢無しで。
が、ここは演奏するしか無い…
先ほどの感動を全部台無しにしてしまう覚悟で演奏は始まりました。
バナナボートの南国調の底抜けに明るい・暢気なメロディが、さきほどの
花嫁やお客さんの涙を急速乾燥させているのが肌で感じられます。
聖者の行進では、案の定と言うか、まぁ気持ちは判るというか、Bさんのアドリブソロはメロメロ。
演奏の「残念感」を一層煽ります。
メンバー一同、こんなに一生懸命に、しかも心の中で何度もゴメンナサイをつぶやきながら演奏した事は初めてでした。
何とか演奏を終了し、メンバーにとって拷問の様なひと時が終わりました。
4人で苦笑いしながら立ち上がり、一礼。
それでも、会場からは大きな拍手があがりました。
それは演奏に感動した拍手なのか…
それともやっと演奏が終了した事へのはなむけの拍手なのか…
かくして、悪夢の様なイベントは幕を閉じたわけです…。
後日談として、花嫁からY君に「バナナボート、みんなで合唱してもよかったなぁ。」と言うコメントが届いたのは、どう解釈していいのか、未だに悩むY君でした。
おしまい。
かおりん「これ、本当にあったお話なんですか?」
うん…。細かい部分はかなり脚色入れてるけど、悲しい事に大筋、事実なんだよ。
かおりん「悲しい出来事ですねぇ。」
ほんとに…
皆さん、イベントの日のスケジュールの確認はちゃんとしましょうね。
イエロ「それほどのもんかーー!」
Posted by ダッパーサクセーバーズ at 23:49│Comments(8)
│ミニコンサート
この記事へのコメント
ハラハラしながら全編読ませていただきました。
演奏できて良かったですね!
めちゃめちゃ面白かったですが…(^_^;)
きんじさん、本書けますよ。
演奏できて良かったですね!
めちゃめちゃ面白かったですが…(^_^;)
きんじさん、本書けますよ。
Posted by sayury at 2009年05月06日 14:02
↑プロが言うから、間違いない!
きんじさん、出版してみましょう。
ダッパーサクセイバーズの爆笑演奏日記。とかどぅですか?( ̄▽ ̄〃)
きんじさん、出版してみましょう。
ダッパーサクセイバーズの爆笑演奏日記。とかどぅですか?( ̄▽ ̄〃)
Posted by ひとみ at 2009年05月06日 19:24
ああ、あれから12年もたつんですね。
ディテールは憶えていないけど
あせってドキドキした気持ちだけは忘れられません。
何か呼ぶものがあったのか
書棚の楽譜の束から ぺろ っと出てきたバナナボート♪は
よくよく見るとボサノバちっくなソロがオサレ。
でも、なぜこの曲を選んだのかあの時の気持ちは思い出せません。
追伸:あの頃はちょっと建物の奥に行くと、「圏外」になってたのよねえ。。ごめんね。Y君。
今でも同じTelephone Noだけど、今ならいつでも出ますので。
Cより
ディテールは憶えていないけど
あせってドキドキした気持ちだけは忘れられません。
何か呼ぶものがあったのか
書棚の楽譜の束から ぺろ っと出てきたバナナボート♪は
よくよく見るとボサノバちっくなソロがオサレ。
でも、なぜこの曲を選んだのかあの時の気持ちは思い出せません。
追伸:あの頃はちょっと建物の奥に行くと、「圏外」になってたのよねえ。。ごめんね。Y君。
今でも同じTelephone Noだけど、今ならいつでも出ますので。
Cより
Posted by Cさん at 2009年05月06日 21:16
sayuryさん>
ありがとうございます。
本…ですか?いやぁ、僕がそんな事ちらっとでも思ったら、某歌う小説家さんから指さして笑われちゃいますよ。
でも、こんななんちゃって小説でも楽しんでもらえてうれしいです。
ひとみちゃん>
去年のエイプリルフールにそのネタもうやったから。(笑)
って、sayuryさんは何のプロ?
某Cさん(笑)>
いやーこのお話、いつかは記事にしたいなーっと思ってました。
ちょうどGWで時間が有ったので、楽しんで小説風にさせてもらいましたが。
この登場人物の中に僕が居なかったのが、本当に良かったっつーか、残念っつーか…まぁ、当時はお疲れ様でしたって事で。(笑)
ありがとうございます。
本…ですか?いやぁ、僕がそんな事ちらっとでも思ったら、某歌う小説家さんから指さして笑われちゃいますよ。
でも、こんななんちゃって小説でも楽しんでもらえてうれしいです。
ひとみちゃん>
去年のエイプリルフールにそのネタもうやったから。(笑)
って、sayuryさんは何のプロ?
某Cさん(笑)>
いやーこのお話、いつかは記事にしたいなーっと思ってました。
ちょうどGWで時間が有ったので、楽しんで小説風にさせてもらいましたが。
この登場人物の中に僕が居なかったのが、本当に良かったっつーか、残念っつーか…まぁ、当時はお疲れ様でしたって事で。(笑)
Posted by きんじ@ダッパー at 2009年05月06日 23:33
Weddingのプロですね♪
おそらく、すっごく想像出来たことでしょう。
去年のエイプリルフールに本屋に予約しに行こうかと思うくらい騙されました。
おそらく、すっごく想像出来たことでしょう。
去年のエイプリルフールに本屋に予約しに行こうかと思うくらい騙されました。
Posted by ひとみ at 2009年05月06日 23:43
「花嫁の手紙」のピンスポットがそのままグルリとこちらに。
・・・・酔いがさめたっちゅうねん。
後にYの披露宴で「花嫁の手紙」がなくなった理由である。
・・・・酔いがさめたっちゅうねん。
後にYの披露宴で「花嫁の手紙」がなくなった理由である。
Posted by Y at 2009年05月07日 07:52
きんじさんの小説になるくらいのネタが私以外にもあったということで、単純に嬉しいです。本人にとっては笑えない話ほど笑えるんですよねー。
Posted by うっ at 2009年05月07日 23:42
ひとみちゃん>
あぁ。Weddingのプロさんなのは知ってましたが、もしかして出版の方でもプロなのかと一瞬勘違いしちゃいました。
予約に行くところだった?あはは。本当に本を出す時はよろしくです。
Y君>
ネタにしちゃってごめんね。
久しぶりの小説風日記で楽しかったです。
て言うか、これがトラウマで「花嫁の手紙」は無しにしたってのは、さすがにネタでしょ?ね?
うっさん>
おぉ。お久しぶりです。
そうそう。人の笑えない話ほど、楽しい小説になっちゃうんですよね、これが…って、うっちーがゆく、はそんなに笑えない話じゃなかったような…いや、笑えない部分も有ったか。その節はお世話になりました。
続編は…まぁ、そのうちまた…
あぁ。Weddingのプロさんなのは知ってましたが、もしかして出版の方でもプロなのかと一瞬勘違いしちゃいました。
予約に行くところだった?あはは。本当に本を出す時はよろしくです。
Y君>
ネタにしちゃってごめんね。
久しぶりの小説風日記で楽しかったです。
て言うか、これがトラウマで「花嫁の手紙」は無しにしたってのは、さすがにネタでしょ?ね?
うっさん>
おぉ。お久しぶりです。
そうそう。人の笑えない話ほど、楽しい小説になっちゃうんですよね、これが…って、うっちーがゆく、はそんなに笑えない話じゃなかったような…いや、笑えない部分も有ったか。その節はお世話になりました。
続編は…まぁ、そのうちまた…
Posted by きんじ@ダッパー at 2009年05月08日 09:21